ある休日の朝、わたしがまだベッドの中でまどろんでいるときに、その出来事は起きました。
小さなランプや読みかけの本が置いてあるベッドサイドテーブル(アンティークショップで買った、白い猫足の超かわいいやつ!)がひとりでにガタガタと揺れだしたのです!・・・地震?いや、揺れているのはこれだけだからポルターガイスト!?突然の出来事になすすべもなく怯えていると その小さな引き出しから大量の煙と火花が噴き出し、そしてメリメリと木の割れる音をさせながら引き出しが開き・・・
ボンッ!!!
中からドギツイ水色と白の全身タイツ姿で、赤い首輪を巻いたタヌキ?みたいな化け物が現れたのです!
「こんにちは~、ぼく『ド〇えもん』です~」
(イメージ画像です)
その間抜け面を見ているうちに、段々腹が立ってきました。
わたしの休日のリラックスタイムを妨害し、お気に入りのベッドサイドテーブルを破壊し、そしてこのわたしを怖がらせるなんて・・・!!!
わたしはひらりとベッドから飛び降りると、履いていた「寝ながらメディキュット」でその化け物を縛り上げました(手近なところにロープがなかったのです)。
「・・・で、おまえは何者なの?」
小一時間たっぷりと痛めつけ、少し気が済んだところでわたしは尋ねました。
みみず腫れやら青あざやらをたっぷりとこしらえ、異様に短い足でずんぐりと正座したソレは、涙を流しながらポツリポツリと話し始めました。自分は未来から来たこと、未来の道具でとある駄目小学生を助けに来たこと(その小学生は、聞けば聞くほどマゾの素質があるように思えました)、それがなぜか間違えて我が家にたどり着いてしまったこと・・・
「未来の道具?」
聞けば未来の世界には、たくさんの面白い道具があるそうです。SMにおいてもお道具フェチのわたしが、興味をそそられないはずがありません。言われたとおりにソイツのポケットの中を探ると、ピンクのダサいドアやら、竹とんぼのようなものやら、ポケットのスペアやら、こんにゃくやら、お世辞にも未来っぽいとは言い難いガラクタが山ほど出てきました。
その中でひとつ、わたしの目に留まったものがありました。
ポップな見た目のバイブのような、懐中電灯のような・・・単三電池2本で動くらしいソレは、なんだかSMに使えそうな感じがします。
「これは何?」
青い顔を更に青くして口を閉ざすドマゾえもん(だっけ?)に乗馬鞭を何発かお見舞いすると、ヤツは早々に口を割りました。「それは・・・いろんなものを小さくできるライトなんですが・・・そんなものをあなたのようなモラルのなさそうなひとが使うな・て危険・・・やめろ・・・」
シュルルルルルル~
うわあ、本当だ!変態の分際でなんだか説教じみたことを言い出したそいつにライトを当ててみたところ、ペットボトルくらいに小さくなりました。何度か試してみたところ、照射時間によって大きさを調整することが出来るようです。
何度もライトを試されて、すっかり米粒くらいになったくせに騒がしいなんとかえもんは放っておいて、わたしは出掛けることにしました。(きっと留守中に、うちの犬に叩き殺されてしまうでしょうね。天罰です。)
このライトがあれば、憎いあいつをおもしろい方法で懲らしめてやることができるわね!
(続く)
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