お買い物はひとりで行くほうが気が楽でいいけど、靴を買うときは別。
女性のスタッフの方に履かせてもらうのは心苦しいし、そもそも混んでいるときは店員さんすらつかまらないし、だからといって自分で屈んで何足も履き替えるのは面倒だし・・・
靴を買うには、奴隷を連れて行くに限る。
「これとこれと・・・ああ、アレも取って」
わたしが指した靴を全て抱えて、Tはよちよちとわたしの後をついてくる。
若い女のひとでごった返すフロアの真ん中、試着用に設けられた低いソファにわたしは腰を下ろす。わたしを見下ろさないためには、そう、床にひざまずくしかないよね。
「ほら、脱がせて」
おすわりしたTの目の前に、わたしは左足を差し出した。ほんとうはここにキスしたいんじゃない?わたしのお靴、大好きだもんね?・・・それともそんな余裕なんてないかな?ふふ。
慌ててわたしのブーツのジッパーを下ろそうとするも、周囲の視線を痛いほど浴びての緊張のためか、Tの手は震えてブーツを脱がすことすらままならない。中途半端にジッパーを下ろしたまま、ブーツを引っ張ったり捻ってみたり・・・ああ、イライラする。そんなことすら出来ないの?
役立たずぶりに腹が立って、わたしは思わずTの頬にビンタをお見舞いする。ただでさえ注目を集めているのに、その乾いた音は更に人々の目をこちらに向かせる。20人?30人?もっと?セール時期だからかいつもより人の多いシューズフロアの、女性客もスタッフもみんなおまえのこと見てるよ。
大勢の視線の中、ようやくブーツを脱がせることのできたTに今度は次々と靴を履かせてもらう。まずはその紫色のパンプスね。もたもたしてたらまた叩くわよ。
そんなかんじでTに手伝わせながら買った、美しいハイヒール。
よく見るとオープン・トゥ、アンクルストラップとエナメルの艶が素敵な素敵な一足です。
それにしても、粗相が多すぎだよ、T。
いくらお漏らししそうでそわそわしてたからって、あれは使えなさ過ぎ。お仕置きされたくて、わざとやってた?
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